2016年3月24日木曜日

陰陽ヨガについて

陰陽という概念は、私達日本人にとっては馴染みやすいものだと思います。

それは、森羅万象あらゆるものを陰と陽に分類して捉えます。たとえば月と太陽、女性と男性、柔らかさと力強さ、闇と光、静と動、地と空、左と右、夜と昼・・・といった風に、互いに相反しながらも互いを補い合う両極の要素を、全ての物の中に見出し、そしてそのバランス=調和と秩序を保っていこうとする考え方です。




それでは、この陰陽の観点からヨガを見てみましょう。

アシュタンガヨガは、テンポの良い胸式呼吸で、キリリと視点を定めて、やるぞー!と元気イッパイ動き、汗を一杯かいて・・・といった「陽」のイメージが強いですよね。

一方リラックスヨガは、ゆったりとした腹式の呼吸で、目を閉じて身体をポーズに委ね、自然と心身が緩んでいくのを感じる、静かで瞑想的な「陰」のイメージです。

でもこれは、リラックスヨガはアシュタンガヨガと比べると陰の要素が多い、または、アシュタンガヨガはリラックスヨガと比べると陽の要素が多い、というだけのことで、決して「アシュタンガは陽100%・リラックスヨガは陰100%」と白黒ハッキリと線引きするものではありません。

例えば同じアシュタンガヨガでも、男性は強い意思と呼吸をツールに、身体の外側の筋力を積極的に使い、上へ上へと向かうエネルギーを生み出し、力強い「陽」の要素を持って練習をする傾向にあり、女性は委ねる意図と深い呼吸で、身体の内側のパワーに導かれるように、地面へグラウンディングするエネルギーを生みだし、柔らかな「陰」の要素を持って練習をする傾向があるように、つまりすべては、とても相対的なものなのです。

むむむむ・・・ なんかちょっと複雑になってきましたね。

それでは「陰ヨガ」とは、なんなのでしょう?





「陰ヨガ」は比較的新しいスタイルのヨガです。

80年代以降アメリカを中心とした現代ヨガ文化。その主流であるパワーヨガやビンヤサヨガといった「陽」の要素の強いヨガを実践する指導者達の中から、新たな視点として生まれたのが陰ヨガです。まさに陰陽の図にある点の部分ですね。

陰ヨガは、それだけでは成り立ちません。陽の要素を持つ他のアクティビティがあって初めて、互いに補い合い、調和を保ち、より良い状況へと向かっていきます。

陰ヨガでは座位や仰臥位を中心としたポーズを5~10分ほどホールドしますが、そのポーズの見た目やカタチよりも、ポーズのもたらす効果効用に重きを置きます。

なぜなら陰ヨガのポーズは陰陽五行思想に基づき、経絡に働きかけ、私達の心身のホリスティックな健康を促すことを大切にしているからです。

時間をかけてポーズを保持することで、身体の外側の筋肉ではなく、内側の筋膜や腱や筋といった結合組織へも働きかけ、緊張や凝りからくる身体の固さが解消され、しなやかな柔軟性が生まれてきます。

意図的に、意思の力で身体をコントロールするのではなく、自らを委ね自然と変容してゆくさまを体験します。この自身の身体の変化、心の状態の変化を観察することで、自然と瞑想へと導かれていきます。

時間をかける、意図を手放す、委ねる、あるがままをジャッジせず、ただ受け入れる・・・そんなたった5~10分間の小さなドラマの体験は、心身のデトックス作用をもたらし、日々のストレスをリセットし、凝り固まった心の癖が解きほぐされ、身体は驚くほど柔軟にしなやかになっていくことに、クラスを終えた後の日常の生活の中で実感するようになります。

慌ただしい日々の生活の中で私達は、24時間無意識に緊張を強いられていて、ゆったりと、なにもしない状態が逆に居心地が悪く、ついつい無駄にスマホやTVや外部の刺激に身をさらしているのが現状です。休まることのない心と身体には、ストレスが澱のように蓄積し、凝り固まった癖を創り出し、それがさらなるストレスや不調の元となっているような気がします。

そんな風に日常がすでに「陽」の要素でイッパイ!な現代を生きる私達には、陰ヨガの効用は、ある意味必要なんじゃないかな、と思います。

また一方で、陰ヨガなんて退屈でつまらない・・・と思われる方も多いかと思います。確かに傍から見たら、そうかもしれません。でも何事も実際に体験してみて初めて解るものです。

特にアシュタンガヨガのように「陽」の要素の多いヨガを行っている方へは、全般的なバランスをはかるためにも、心と身体のしなやかな柔軟性を向上するためにも、そして何よりも「○○○のためにやる」といった目的達成を重要視する「心の癖」を整えるためにも(笑) 陰ヨガを定期的に取り入れていくと良いのではないでしょうか。

ということで、始めてみましょう陰ヨガ。

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